2010年12月20日月曜日

CEDEC 2009にて「大航海時代 Online」での5年間を






ネットワーク事業部 オンラインサービス部長
渥美 貴史

 9月1日?3日に,パシフィコ横浜で開催されるCESAデベロッパーズカンファレンス2009(CEDEC 2009)。その中で,9月2日にコーエー ネットワーク事業部 オンラインサービス部長 渥美 貴史氏(以下,渥美氏)によるセッション,「『大航海時代 Online』の運営戦略、そして次のステージへ」が予定されている。



 渥美氏といえば,「大航海時代 Online」の開発当初から開発ディレクターとして携わり,現在は運営プロデューサーとしてサービスを支えている人物だ。と,改めて説明してみたが,4Gamer読者にはインタビューなどでお馴染みの人物なので,ご存知の方も多いだろう。



 そんな渥美氏が今回,大航海時代 OnlineをテーマにCEDECでセッションを行うという。なぜ,今回“コーエーの運営戦略”ではなく,“大航海時代 Online”を前面に出した運営戦略となっているのか,実際にどのような内容が語られるのかを,CEDECの事前取材として渥美氏に聞いてみることにした。












「大航海時代 Online」での経験/実例を通して,オンラインゲームの運営戦略を振り返る




4Gamer:

 本日はよろしくお願いします。さっそくですが,今回CEDECで講演するにあたり,なぜ「大航海時代 Online」をテーマとしたのでしょうか? 例えば,コーエーとしてであれば,もっとも長くサービスしているタイトルに「信長の野望 Online」がありますよね。








渥美 貴史氏(以下,渥美氏):

 やはり私自身が「大航海時代 Online」の開発当初には開発ディレクターという形で,その後,運営プロデューサーとして現在も携わっている,ということが大きな理由ですね。

 また大航海時代 Onlineは,5年という長期間の運営サービスが行われています。その間に,今年の4月にはPLAYSTATION 3版でのサービスが開始され,先月の7月26日には拡張パック第3弾となる「大航海時代 Online ?El Oriente?」を発表しました(関連記事)。ですので,このタイミングでいろいろとお話しできるのは良い機会なのではないかと考えています。



4Gamer:

 講演内容が「『大航海時代 Online』の運営戦略、そして次のステージへ」ということで,El Orienteに関する話も何か聞けるのかな? と,ちょっと期待もしてみたいですが,今回はCEDECということを考えると,ちょっと話の方向性は違いますよね(笑)。



渥美氏:

 そうですね(笑)。ただ,将来的なことも,何か話せる範囲でちょっと話せれば良いかなとは思っています。

 実は今回CEDECで講演するにあたって,一番悩んだのが想定ターゲットなんですよ。まず,初級の方向けの講演にするのか,中/上級の方向けにするのか……初級,中級というのはちょっと抽象的ですが,たとえば技術的なことも含め難しめな話にするのか,またはこれまでの経験を踏まえて運営の自論を展開するのかといったところです。しかし,今回は私自身もCEDECで講演するのは初めてですので,大航海時代 Onlineを通して,これまでこういうことが起こり,それに対してこのように対処した……といったことを,開発/運営目線から実例を交えてお伝えできればと思い,初級で設定しました。



4Gamer:

 なるほど,渥美氏本人の経験談を元に,これまでの大航海時代 Onlineの……オンラインゲームの運営戦略を振り返ってみるのであれば,“大航海時代 Online”がテーマになるのは当然です。では,講演内容はどのようなものになるのでしょうか?



渥美氏:

 具体的には,運営期間を第1期から第5期に分けて,時系列順にお話しすることになると思います。5年近くサービスを続けてきた中で,大航海時代 Online風に言うならば,順風満帆なときもあれば,嵐の真っ只中だったときもあり,さまざまな経験を重ねてきました。そのときどきに応じて,我々がどのようなことを考えながら運営を続けてきたのかをお話しする予定です。これは,そのまま運営のケーススタディになる話だと思います。



4Gamer:

 長期間のサービスの中ではいろいろあったと思います。その生の体験談が聞けるのは,運営に携わっている方はもちろん,プレイヤーの方でも運営の裏側が聞けそうで興味深い話になりそうです。



渥美氏:

 5年近くに及ぶ体験談を60分の講演にまとめるのは難しいのですが,その分密度の濃いものにしたいと思うので,何かの参考にしていただければ嬉しいですね。













五つの期間から見えてくる,オンラインゲームの運営方針









4Gamer:

 今回,大航海時代 Onlineのこれまで,これからを5期に分けて話すとのことですが,具体的にはどのように分けられているのでしょうか?



渥美氏:

 そうですね,まずは,2005年3月の正式サービス開始から初の大型アップデートを実施した8月までが第1期となります。



4Gamer:

 正式サービスの開始時というと,いろいろと大変な時期ですよね。





渥美氏:

 ええ。第1期,つまり正式サービス開始時は,どのオンラインゲームでもあると思うのですが,まず正式サービス以前から遊んでいたプレイヤーさんによって,コンテンツがやり尽くされている状況が生まれます。講演では,そこで我々が取ったアプローチ……つまり,いくつか戦略はあると思いますが,どう分析し,どのように対応したかをお話しできると思います。



4Gamer:

 なるほど。βテスト時におけるコンテンツの消費スピードは凄まじいですからね。



渥美氏:

 もちろんコンテンツのやり尽くしというのは一例に過ぎず,正式サービス開始時は,いろいろな部分が一番安定していない期間です。ですので,大航海時代 Onlineに限らず,オンラインゲームではさまざまな問題が起こっていると思います。その中でどういう優先順位で問題解決に着手したのかというところを,大航海時代 Onlineで発生した実例で紹介するつもりです。



4Gamer:

 サービス面にしても,サーバーやクライアントといった技術的なものにしても,予想外の問題が起こりうる時期ですよね。



渥美氏:

 そうです。企画書を作り,実際にサービスインしたときに,こういったところは実現できたという一方で,計算外だったり誤算だったりという部分があります。実はそういった誤算が,次のアップデートに向けたフェーズで,問題点となっていろいろと噴出したんですよ。



4Gamer:

 それは,問題点が一つ出てきたら,アレもコレもと連鎖するといったものですか。



渥美氏:

 うーん,連鎖というか,違う観点での問題が出たんです。詳しくは,講演で話せたらと思いますが,本当に誤算でした。



4Gamer:

 どのような誤算があったのか気になる
引用元:三國志 専門サイト